大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ラ)215号 決定

よつて抗告人の主張の当否に付審案するに、原決定は相手方の申立に基ずき明白な誤謬の更正として債権者芳賀佐右衛門(本件相手方)、債務者石田信之助(本件抗告人)間の東京地方裁判所昭和二十八年(ヨ)第三四六五号仮処分決定の主文「債務者は別紙目録表示の水道(右決定添付の別紙目録によれば水道栓所在地足立区千住三丁目三九番地芳賀佐右衞門方、水道栓番号第三二四号の水道使用権)につき徹去手続をしてはならない」とあるのを「債務者は別紙目録表示の水道につき撤去手続その他これを撤去する様な一切の行為をしてはならない」と更正したものであるところ、右水道の撤去手続とは水道局等に対する水道の撤去に関する手続を指称し右撤去の事実行為は之を包含しないものと解すべく、又右「水道を撤去する様な一切の行為」には水道撤去の事実行為をも包含されるものと解さなければならない。然るに右仮処分決定をした裁判官が右決定をするに当り右仮処分を以て右水道撤去に関する手続行為のみならずそれ以外の撤去の事実行為迄之を禁止しようとする意図を有していたことは右仮処分決定文からは勿論記録に存するすべての資料に徴しても到底之を窺知することができない。仮に右裁判官が右仮処分決定をするに当り右の如き意図を有していたとしても、その誤謬即ち裁判官の右意思と右仮処分決定文上の表示との右不一致は民事訴訟法第二百七条により決定に準用される同法第百九十四条第一項にいわゆる明白なるものと言うことはできない。然らば右誤謬が明白なるものとしてなした原更正決定は失当であつて本件抗告は理由があるから、原決定を取消し本件更正決定申立は之を却下すべきものとし、民事訴訟法第九十六条、第八十九条を適用して主文の通り決定した。

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